静岡県のHIV/AIDSの現状

静岡県のHIV/AIDSの現状

このブログをお休みしている間に平成18年のエイズ患者・HIV感染症陽性者の数字が発表になりました。静岡県は平成17年よりも下がっていますが実数で1名なので、相変わらず増加傾向と言っていいと思います。

この報告数は、保健所等の検査でHIV陽性だと判断された数、病院等でエイズと診断されたエイズ患者の数で、法に基づいて厚生労働省に保健所等を通じて報告が上がります。

HIV陽性者/AIDS患者ともにエイズサーベラスが始まった1985年からずっと増え続けています。
また、90年代に入ってから急角度で増えてきている傾向にあります。

HIVに関しては男性同性愛者で患者数が多いことから、雑誌やインターネット、男性同性愛者が集まる飲食店や施設で血液検査を受けようという予防啓発活動が盛んに行われたためかもしれませんが、潜在的にHIV陽性者が存在していて感染が拡大しているのかもしれません。

12月1日の世界エイズデーには音楽イベントなどが行われたり、キャンドルパーレドなど年間を通じて様々な予防啓発イベントが行われています。インターネットではYahooやBody Shopなど様々な企業が予防啓発に取り組んでいます。http://redribbon.yahoo.co.jp/

ところが、HIV/AIDSの予防啓発の内容や現状が全ての人(若者から中高年、男性も女性も…)に伝わっているかというとそうではありません。少なくとも、中学校から性教育でコンドームが望まれない妊娠を防ぐだけでなく性感染症の予防には最適であるという知識を身につけさせないと感染拡大は進む可能性が高いと言っていいと思います。

HIV陽性者、エイズ患者が共に増加しているのは先進国の中で日本のみと言われています。

静岡県の数字を見るとAIDS患者数は波をうっていて、総数として増加傾向を示しています。
HIV陽性者もAIDS患者数は東京圏中心で大きな数字だったものが、数年前から少しずつ、大阪を中心とした近畿、あるいは名古屋を中心とした東海地域の報告数が増加に傾いてきています。

静岡県は47都道府県の中で9番目という高い位置にいます。

静岡県は田舎だから大丈夫とは言えない状況ですが、いろいろなな方と話をしていて感じることは実数が少ないので行政や教育関係者も危機感がないように思います。もっと実数の多い感染症もいろいろありますから、予算配分が少なくなっているのはそういうことなんじゃないかと個人的に思っています。

たしかに、今年流行った「はしか」の患者数とは比べられません。結核の患者も増えていると聞いています。鳥インフルエンザなども怖いです。

↑このグラフには大きな疑問点が隠されています。

HIVの薬が少なかった頃にはHIVに感染すると10年を目処にCD4が下がって日和見感染症にかかりエイズになります。しかしながら少しずつHIVの薬が日本でも認可されてきて、97年からHAART(Highly Active Antiretroviral Therpy)という治療法が開発され、エイズ患者の報告数は日本をのぞく先進国では下がってきました。

ところが、日本では(静岡県でも)エイズ患者数は波を打ったようなグラフで減っているとは言えません。

つまり、これまで行政が中心となってやってきていたエイズの予防啓発活動は成果を上げていないし、今後は予算が減って予防啓発活動が少なくなり、エイズ患者数の減少は見込まれないことが予測されます。

今後効果的な予防啓発活動が行われて血液検査をたくさんの人が受けた場合にHIV陽性者は増えて行くかもしれませんが、HIVの治療をすることでエイズ患者は減って行くことになります。
効果的な予防啓発活動によって増加のピークを迎えれば、それからは減少傾向になって、HIV感染症もエイズも(根絶は薬が開発されるまで難しいと思いますが)性感染症の気をつける病気のひとつとして位置づけられるようになると思います。

僕個人の意見としては、予防啓発活動のベースは「教育」だと思っています。
若者(中学生高校生をはじめとする10代20代前半)は社会の知識もお金もない環境で性感染症の知識も少ないし予防の方法や医療機関へのアクセス情報もありません。そこで彼らをハイリスクグループと呼んでいます。彼らに性感染症と予防の方法を身につけてもらうには遅くても中学1年生から始めないといけないかも…と日々のニュースを見ながら思っています。

言葉が悪いんですが、ドラッグが若者の間で今だに流行っているのはドラッグを売る大人や夜遊びを止められない大人の責任が大きいと思いますが、セックスをしたくてしょうがない性衝動をおさえられないのは大人が主原因なんでしょうか?手元に性交渉の年齢グラフが見つからないんですが、高校3年生の女子にアンケートを取ったところ初体験のピークは中学2年生と高校2年生だったように記憶しています。男子高校生はもっと遅いんですよね。
 僕には良くわからないところなんですが、性衝動をおさえられなくても性感染症の怖さの知識があってコンドームを使ってさえくれれば、望まれない妊娠やエイズの蔓延は防げるように思います。

そういったことは大人が教えないで誰が教えてくれますか?

残念ながらゲイ向けの雑誌以外でエイズの予防啓発を毎月取り上げている雑誌を僕は知りません。中学生や高校生で自分が同性愛じゃないかとか自分の性衝動が良くわからない子(男女)はゲイ雑誌にはアクセスしませんので、そういったセクシャルマイノリティの存在や予防啓発は男女間だけじゃないということも学校で教える必要性を感じます。

性教育を反対する先生方や大人が今だにいますし、性の知識や性感染症の知識などについては話てもいいが、コンドームの使い方は話さないで欲しいと言われることがありますけど、エイズHIVを防ぐ方法は現在のところはコンドームしかありません。それを話さないでどうするんでしょう?

実はこのグラフでは読めない課題がまだあります。

エイズ患者は異性愛者で30代後半から40代50代も含めて増えています。
つまり、今までやってきた予防啓発活動は行政だけでなく市民活動でも教育機関でも、おじさん達には届いてなかったか行動に結びついていないということです。
教育でハイリスクグループの若者達がエイズHIVの感染拡大が防げるようになったとしても、異性愛者のおじさん達がコンドームを確実に使ってくれるようにするには何をしていったらいいのか分かりません。

僕のスタンスとしては、異性愛者のおじさん達へのアプローチは何もしていなくて、女性に対して性感染症の予防はコンドームが一番と予防啓発活動をして「自分の身は自分で守る」ように動機付けをするしかないと考えています。

発表される数字(グラフ)の裏にいろいろなことがありますから「ふ〜ん」って見るだじゃダメですよ。
この↑グラフについて言うとHIV陽性者数はしばらくは増えてもしょうがないことですが、エイズ患者数は今年は去年よりも少なくなって欲しいですね。
3月までに4人が報告されているので、去年よりも増えそうな嫌は予感はしますが…。


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