第12回東海HIV感染症研究会

第12回東海HIV感染症研究会

昨日タイトルの会議に出席してきました。
以前このブログにも書いたと思いますが(書かなかったかも…)従来は名古屋で開催されている研究会です。
なかなか出席できなかった研究会だったんですが、名古屋ではなく、静岡でもなく、浜松での開催でしたので、時間の調整が容易にできて、情報交換会にも40分ほどいることができました。

実は今回の参加はご無沙汰している先生方にご挨拶をするのと、大阪医療センターの『あなたと、あなたのイイひとへ。』『あなたに知ってほしいこと』を配布することでした。名古屋のエンジェルライフ名古屋の方やNPO法人魅惑的倶楽部(←と書いて、エキゾチッククラブ)の方々ともご挨拶できたので、短い時間でしたが充実してました。

※NPO法人魅惑的倶楽部 http://www.exotic-club.jp/home.html
     AIDSの予防啓発活動(レッドリボンプロジェクト)、思春期講座、障害を持つ人達へのサポート活動などで精力的に活動されているグループです。

※エンジェルライフ名古屋 http://aln.sakura.ne.jp/
     毎年6月に行われるNLGRという日本でも有数の、HIV検査を主目的としたイベントの開催や勉強会を行っている団体です。

HIVや性感染症については感染したらどうしよう…という危機管理の意識に留まっている方が多いと思います。ところが、ちょっと奥に入っていくと医学の問題だけではないことが分かってきます。

様々な分野の知恵が集まらないと問題が解決できないことは他にもありますが、HIV、AIDSに代表される性感染症に関わる問題も同じです。

医療が進んだだけでは問題の解決にはならないんですね。差別意識の問題、教育、生活、病院の体制、仕事の問題、セクシャリティに関わる問題、国際交流の問題、老後の問題…などなど、全部の問題を解決していかないと、自分の生活(特に性生活)が充実しない(満足できない)わけですから、とても大変です。実はちょっと深いところに興味を持つと他人事ではなくなってしまうんです。
すっごく小さいですが、自分も何かで協力できたら…って思って、ボランティアで活動しているわけです。

今回の研究会では厚労省のエイズ対策研究で男性同性間のHIV感染対策と研究されている市川先生に1年半ぶりにお会いできたので、とても良い機会でした。

演題では岐阜大学医学部の先生の発表が興味深い内容でした。田舎でHIV感染症の治療をしていく難しさについて具体的な事例を発表されましたが、その事例は他人事じゃあないなぁと思いました。自分が住んでいるところも岐阜と同じで、病院も役所もどこにいっても知り合いが必ずいるという環境で、セクシャリティやHIVをカミングアウトすることの困難さをひしひしと感じました。別にカミングアウトする必要ないじゃないかって思うかもしれないんですが、少なくとも身体障害者手帳を貰わないとHIVの治療には毎月5~7万円の個人負担をしなければいけなくなってしまいます。身体障害者手帳をもらうには市区町村の窓口担当者と責任者などなどにHIV感染を知られてしまうわけです。もちろん病院でも治療の窓口とソーシャルワーカーと薬剤師さんなどには知られてしまうわけです。主治医以外の人にカミングアウトしないで治療は絶対にできないということは、田舎ではとても悩むことなわけです。

三重県立総合医療センターの発表ではアドヒアランス(きちんと服薬できている)だけではなくて、精神的なケアの大切さを感じました。

市川先生の話は『男性同性間のHIV感染対策に関するガイドライン』の要約的なお話でしたが、目からウロコ的な話が多く聞けました。
自分の意識でゲイやMSM、HIV感染者を見ているので考え違いをしているところを再認識させられました。

市川先生の講演の前にミニレクチャーがあって、K先生の『いま、同性愛者として』という話が入りました。
市川先生の話だけだと、聞く人によっては勝手な解釈をする人もいるのでは…と思いますが、その前にゲイやMSMの当事者の話が入ったので、自分も市川先生の話に入りやすかったと思います。

AIDSがアメリカのゲイコミュニティから問題がクローズアップされたので、日本での取り組み(データ集計が)、薬害(血液製剤)、男性同性間での感染(が疑われる)、異性間での感染(が疑われる)、男性、女性、日本人、外国人、それと年齢、地域ということになっています。

この切り口は集計する人や報告する人にとってはやりやすい分類になってはいると思いますが、予防啓発活動をしている僕たちにすると、アプローチ対象を絞りにくいんです。

男性同性間の性的接触によって感染したうんぬんという数字を見てHIV感染の予防啓発活動をしようと考えても、ゲイバーやゲイのメディアを押さえるだけでは対象者にはメッセージは伝わらないわけです。僕らが静岡県のMSM(男性と性的接触をする男性)に向けたホームページを作る時にいろいろヒアリングを行いましたが、自らをゲイ(男性にしか性的魅力を感じない男性)と言う人はとても少なかったんです。既婚者でゲイバーなどに行く人がなんと多かったことか。彼ら家にゲイ雑誌は持って帰れないから読まないのです。インターネットで聞いたところでは男性とHをする既婚者でゲイバーにも行かない、もちろん雑誌も見た事ないという人も何人もいました。彼らにはメッセージは届きませんね。

まぁ長くなるので、こんなところで…(笑)。


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